後悔の哲学

後悔をするときは必ず自分のしたことに対する後悔である。他人がしたことであっても、自分が違う仕方で関われたのではないか、自然がしたことであっても、そうである。 後悔するときは、自分が違う仕方でできたのではないかという仮定が前提となっている。発…

精神的物々交換

村上春樹のいう「精神的物々交換」とは、『騎士団長殺し』でいえば、画家の雨田具彦が書いた「騎士団長殺し」の絵がそうなのである。 「騎士団長殺し」は元々モーツァルトのオペラである。それを画家の雨田具彦が日本画の手法で描いた。登場人物も日本人の設…

村上春樹のインタビューポイント

①精神的物々交換 ②観念 ③身体感覚 ④死と再生 ⑤物語の力 ⑥一人称

村上春樹と神話

以前どこかで「村上春樹の小説は神話的である」という文章を読んだことがある。 その時は意味がわからなかったが、この頃その意味が少しわかってきた気がする。 最近の村上春樹のインタビュー記事の中で話題になっていたことの一つに「死と再生」というテー…

カオスとノモス

「インドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるのか」という思考実験に隠れているテーマは、実はカオスとノモスの関係性の問題である。カオスとは、混沌、無秩序を意味し、反対にノモスとは、秩序や規範を意味する。 カオスとノモスの問題は至る所にある。人間の…

カオス

人間の知の営み全てが、カオスから切り取るということをしている。その切り取る手段は時に言語であり、時に数式である。カオスはカオスのままでは知とならない。言語や数式という枠組みに落とし込むことにより、知となる。これは、その枠組みからこぼれ落ち…

インドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるのか 3

できる。もし祈祷師が日本の妖怪に対して、地理的条件を気にすることなく、日本の妖怪だろうと何だろうと、これは自分の知っている魔物だと、つまり、自分が持っている既存の知の枠組みに、日本の妖怪を当てはめてしまうなら、インドの妖怪は日本の妖怪に対…

符合的真理

符合的真理とは、言語(観念)と事実(現実)が一致したときに真とされる真理のことである。 たとえば「テーブルの上にみかんがある。」という命題は、現実のテーブルの上にみかんがあれば真となり、みかんがなければ偽となる。 この真理は、「真理」という…

「インドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるのか」というテーマのポイント

①目に見えないこと ②対処するということ ③向き合う構え ④カオスに対しての切り取り、どうとでも切り取れる ⑤動物とのアナロジー ⑥三次元を越えた4次元、5次元 ⑦相互信頼性 ⑧符合的真理

『論考』から『探究』 自閉症から定型発達へ

哲学者のルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの著作に『論理哲学論考』『哲学探究』がある。ヴィトゲンシュタインの哲学は前期と後期に分かれるが、『論考』は前期の『探究』は後期の代表作である。 今回の文章で提起したいのは、『論考』から『探究』への哲…

インドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるのか(追記)

思考実験 一つの思考実験をしてみたい。それはインドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるのだろうか、というものである。これは祈祷師に限らず、呪術師、シャーマンなどでもよい。また、インドでなければならない理由はない。つまり、この問いは一般的にいえば…

言葉を発するということについて

人が言葉を発するとき、それは色々な場面が考えられる。会話の場面など、複数の人間がいる時に言葉を発することがまず考えられる。また、一人の時でも、独り言ということばがあるように、言葉を発することがある。 まず、会話の場面における発言について考え…

AIという表象

昨今AIの話題は、特に科学に関心がない人でも口にする。それほど、AIは世間に浸透しているといえる。確かにAIは現代のテクノロジーの最先端を走っていることは間違いない。しかし、それはAIに限らず、iPS細胞やゲノム解析だって同じことだ。それにもかかわら…

AIは嘘をつくか

昨今、人工知能(AI)についての話題が絶えないが、人工知能の水準がより上がっていったときに、人工知能が嘘をつくという事態は起こりうるのだろうか。それを考えるためには、まず嘘をつくということがどういうことなのかを考えてみる必要がある。 「嘘」が…

知の4つの視点

知に対する四つの視点を考えてみたい。それは神の視点、未来人の視点、知者の視点、一般人の視点である。 「知」について考える時に、まず知と呼ばれるものは情報だろう。我々が何かを知っているという時、ある情報を知っているということをイメージするので…

感覚と判断について

「感覚」というと、通常、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のような五感のことを指すだろう。しかし、「感覚的に判断する」という文における「感覚」は五感のことではない。それは、推論を経ることなく、判断するという意味であり、この場合の「感覚」は推論を…

インドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるか

一つの思考実験をしてみたい。それはインドの祈祷師は日本の妖怪に対処できるのだろうか、というものである。これは祈祷師に限らず、呪術師、シャーマンなどでもよい。また、インドでなければならない理由はない。シャーマンや祈祷師は、悪魔や魔物という存…

チンパンジーは数字を理解するか

以前テレビで「数字を理解するチンパンジー」の実験についてのニュースがあった。その実験というのは、モニターに1~9までの数字が表示されていて、それを数字の順番にタッチできたら成功で、エサがもらえるというものである。そのチンパンジーは、もちろ…